ガチ魔女って、普段
何しているんですか?
ネットなどで「最近、魔女が流行っている」という表現をよく目にします。しかし、第二次世界大戦後に広まった現代魔女宗とは一種の信仰体系ともいえるもので、流行に左右されるような軽佻浮薄な現象ではありません。本書は、魔女の生き方を追求してきたヘイズ中村の考えを、平易な文章と売れっ子漫画家の笑夢かぇるさんの愛らしいコミックで綴るエッセイ集です。
数あるオカルト用語の中でも、頻繁に一般人にも使われて、さらに誤解の上に誤解が重ねられているのは「黒魔術・白魔術」、そしてなによりも「魔女」ではないでしょうか。ゲーム、コミック、映画にアニメ。そこでは美少女と呼ぶにもあまりに幼すぎるような容貌の少女たちが、不自然な巨乳とマイクロミニのスカート、というルックスを与えられて登場しています。ときには妖艶な熟女の場合もありますが、着衣の量が極端に少ないのは少女たちとなんら変わりません。そうした彼女たちは、如何にも古色蒼然たる男性好み、通り一辺倒なマスコミ好みの言動を振り撒いているのです。
ですが、生身でちゃんと服を着ている魔女は実在しています。昔から集落でお産を手伝ったり病人の治療をしてきた「村の魔女」と呼ばれる人たち。そして第二次世界大戦後に始まり、後のヒッピームーヴメントやフェミニスト運動と共に拡大してきた「現代魔女」と呼ばれるタイプの魔女。こうした魔女たちに共通するのは、見えない世界を信じ、地球や自然と一体化したライフスタイルを提唱する生き方でしょう。現代魔女の定義や歴史には諸説ありますが、少なくとも漫画に出てくる一晩で肺炎になりそうな服装でうろちょろしているタイプではないのです。
この件についてまずお伝えしたいのは、私たち魔女は「 ウイッチズ・クリード( Witches’ Creed 魔女の信条)を守っている、ということです。そしてウィッチズ・クリードの最初の第一条は「何をしても良いが、だれも傷つけてはならない」。ですから、基本的には魔女が人を呪うことはあまりしません。
今、多くの現代魔女の方々が、生身の魔女はそんなエロい存在ではなく、普通に生きているのだ、という情報を発信されています。でも一向に世間の誤解が減る雰囲気はないどころか、逆に誤った情報に感化されて「魔法少女になりたいんです!」などという志願者まで現れる始末。やはりこれは魔女の実態を知ってもらうしかない!ということで、本書では、世間一般に広まっている魔女への誤解や間違った思い込み、そして普段、オカルトや魔女術に興味がある人が知りたいけれど質問はできない、といった日常的な疑問などに対して、できる限り率直に、そして分かりやすい言葉でお答えすることを目標にしました。
そして何よりも本書の「売り」なのは、占い師でもある漫画家、笑夢かぇるさんが書き下ろしてくださった愛らしくてコミカルな漫画の数々です。言葉だけではどうしても伝わりにくい微妙なニュアンスを、笑夢さんは絶妙なセンスで描き出ししてくれています。神秘的なことは好きだし占いもできるけれど、魔女ってよくわからない。そんな大半の方々の視点と意見を代表してくださった笑夢さんの作品が、本書を何倍も魅力的にしてくれています。魔女ってなに?という気軽な疑問を持っている人から、真摯に魔女術を志しておられる方々まで、楽しくお役に立てる書籍になっていること、間違いありません!